傷害罪・傷害致死罪
1 傷害罪・傷害致死罪について
他人に傷害を負わせることにより,傷害罪が成立します。 多くの場合は,人の身体に対する暴行(不法な有形力の行使)を手段としてなされます。
ただし,傷害を与える方法に制限はなく,暴行によらない無形的な方法で傷害を与えた場合にも傷害罪が成立すると考えられています。
もし,相手に暴行を加えたが,相手が傷害を負わなかったというのであれば暴行罪となります。しかし,相手に故意に暴行を加えたのであれば,たとえ相手に傷害を負わせるつもりまではなかったとしても,結果として傷害を負ってしまえば傷害罪が成立します。さらに,相手に故意に暴行を加え,それにより相手が死亡してしまうと,例え死亡させるまでのつもりがなかったとしても,傷害致死罪が成立します。
傷害罪の法定刑は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。 暴行罪の法定刑は,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は勾留若しくは科料です。
傷害致死罪の法定刑は,3年以上の有期懲役です。
2 弁護活動について
情状弁護としては,必ず被害者(又はご遺族)がいらっしゃる事件ですので,被害者の方が被った結果(死亡したのか,怪我の程度はどうか),それと併せて,被害者への対応,謝罪や慰謝料の支払い,示談が重要な意味を持ちます。また,相手にそのようなことをするに至ったからには,必ず動機があります。恨みによるのか,けんかの中での行為なのか,精神的な病気が影響しているのか,被害者に落ち度がなかったのか,被害者との関係などを検討する必要があります。
それと関連して,正当防衛,正当業務行為が成立するなど犯罪が成立しない場合や,過剰防衛など刑が減刑される場合もありますので,そのような事由がないのか吟味が必要です。