保釈について
保釈とは,起訴後勾留されている被告人が保証金(所謂保釈金)を提供することにより釈放されることです。注意すべきことは,起訴前には保釈は認められないということです。保釈金それ自体は,裁判終了時に全額返還されます。ただし,保釈条件違反がある場合には一部または全部が没収(専門的には「没取」と言います)される場合があります。
権利保釈と裁量保釈
保釈は,裁判官が必ず認めなければならない場合(権利保釈といいます)と,裁判官の裁量によって認めることができる場合(裁量保釈といいます)とがあります。
権利保釈は,以下の事情がないときに認められます。
- 起訴された犯罪がある程度以上の重さの罪であること
- 長期10年を超える前科があること
- 常習としてある程度以上の重さの罪を犯したこと
- 証拠隠滅のおそれがあること
- 被害者などの関係者に害を加えたり畏怖させる行為をしたりするおそれがあること
- 氏名・住居が分からないこと
また,裁量保釈は,上記1~6の事情があって権利保釈が認められない場合でも,なお保釈が適当だといえるような特別の事情があるときに認められます。犯罪の性質や情状,被告人の経歴,行状,前科や健康状態,家族関係,公判審理の進行状況などの諸事情が考慮されます。
弁護人は,保釈を請求する際には,上記の各要件を意識しながら関係者の事情聴取や示談活動等を行い,そうした成果を保釈請求書等で主張し,裁判官に保釈の請求を認めてもらうよう弁護活動をします。