示談
1 示談が必要となる事件
被害者がいる刑事事件犯罪では,示談に向けた活動ができないか検討する必要があります。
被害者がいる犯罪とは,例えば,暴行や傷害罪などの粗暴犯,強姦,強制わいせつ,痴漢などの性犯罪,窃盗や詐欺罪,横領罪などの財産罪などがこれにあたります。
これに対し,公務執行妨害罪,贈収賄罪,偽造罪など,国家的な法益を守る犯罪では,普通,示談は問題となりません。
確かに警察官に暴行を働いたのですから,その警察官に慰謝料などを支払って示談したいところですが,通常,警察官はそのような示談金等の金銭は受け取ることありません。
そのほか,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反などの薬物犯罪も被害者がいないので示談が問題となりません。
このように,示談は被害者がいる犯罪で問題となります。
2 示談交渉の進め方
刑事事件の示談交渉の着手は,基本的には,早期に行う方が良いといえます。しかし,示談は相手のあることなので,被害者の気持ちを考えて交渉のタイミングを考えなければなりません。
また,一般の方にとって,被害に対する相応の賠償額は判然とせず,被害者に対し,どのような提案をしてよいのかわからないことが多々あります。
さらに,誰が示談等の話をするのかということも重要です。犯罪を行ってしまったご本人やそのご家族が話をするのと,弁護人が話をするのとでは,同じ内容であっても被害者の受け取り方が全く違ってしまうということが,よく見受けられます。
加えて,特にご本人が逮捕勾留をされ,身柄が拘束されてしまっている場合には,示談交渉を進められる時間も短期間になってしまうことも多いです。
このように示談交渉の進め方は,非常に繊細な事項を含むだけでなく,スピードも要求されますので,専門家である弁護士に依頼をされるか,少なくとも相談をされた上で,進めることが適切でしょう。