刑事事件について知りたい方
痴漢
痴漢事件は,大きく分けて迷惑行為防止条例違反と強制わいせつの2つの種類があります。
強制わいせつ事件の刑事罰は,「6月以上10年以下の懲役」です。
一方,条例違反事件については,茨城県においては,現在「6カ月以下の懲役,50万円以下の罰金」,常習になると「1年以下の懲役,100万円以下の罰金」と定められています。
両罪の違いは,行為態様にあり,「卑猥な行為」が行われた場合は迷惑行為防止条例違反,「暴行脅迫を用いたわいせつ行為」が行われた場合は強制わいせつ罪になります。
強制わいせつ罪の「暴行」の定義はとても広く解釈されており,例えば下着の中まで触れたような場合は,下着の中に手を入れること自体を暴行とみて強制わいせつ罪とみなされる場合が多いです。
詳細は痴漢のページをご覧ください。
盗撮
盗撮行為は,各都道府県による迷惑行為防止条例に違反します。
茨城県の場合,茨城県公衆に著しく迷惑をかける行為の防止に関する条例2条3項で,
第2条 何人も,道路,公園,駅,興行場,飲食店その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車,電車,乗合自動車,船舶,航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において,人を著しく羞しゆう恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で,みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
- (省略)
- (省略)
- 他人の身体等を撮影し,又は録画しようとすること。
が禁止されています。
法定刑は,「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」,常習だと,「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。
詳細は盗撮をご覧ください。
婦女暴行・強姦
強姦は13歳以上の男女に対して被害者が反抗できないくらいの暴行又は脅迫をして性交(セックス)をする行為です。13歳未満の男女に対しては暴行や脅迫をしなくても性交(セックス)をした場合は強姦罪が成立します。2人以上が共同して女性を強姦した場合は集団強姦罪となります。
これに対し,婦女暴行は,主にマスコミが強姦事件を婉曲的に表現する場合に使用するもので,強姦とは別の犯罪類型という訳ではありません。
詳細は婦女暴行・強姦をご覧ください。
児童買春・児童ポルノ
児童買春とは,18歳未満の少年少女(児童)や関係者(斡旋者や保護者など)に対して対価を払ったり,対価支払いを約束して性交など(自己の性器を触らせることなども含みます)の関係を持つことを指します。
詳細は児童買春・児童ポルノをご覧ください。
傷害(暴力・暴行)
他人に傷害を負わせることにより,傷害罪が成立します。 多くの場合は,人の身体に対する暴行(不法な有形力の行使)を手段としてなされます。
ただし,傷害を与える方法に制限はなく,暴行によらない無形的な方法で傷害を与えた場合にも傷害罪が成立すると考えられています。
もし,相手に暴行を加えたが,相手が傷害を負わなかったというのであれば暴行罪となります。しかし,相手に故意に暴行を加えたのであれば,たとえ相手に傷害を負わせるつもりまではなかったとしても,結果として傷害を負ってしまえば傷害罪が成立します。さらに,相手に故意に暴行を加え,それにより相手が死亡してしまうと,例え死亡させるまでのつもりがなかったとしても,傷害致死罪が成立します。
傷害罪の法定刑は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。 暴行罪の法定刑は,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は勾留若しくは科料です。
傷害致死罪の法定刑は,3年以上の有期懲役です。
詳細は傷害(暴力・暴行)をご覧ください。
窃盗・万引き
窃盗とは,他人の財物を窃取することを言います。窃盗罪は,刑法第235条で10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると定められています。
一般的に万引きといわれている行為も窃盗罪にあたりますので,上記の処遇に該当します。
窃盗,万引き事件は,認知件数において一般刑法犯の76.5%(平成22年)を占めています(犯罪白書より)。窃盗の手法も,自転車やオートバイなどの乗り物盗,車上狙い,万引きなどの非侵入窃盗,空き巣などの侵入窃盗など様々あります。
詳細は窃盗・万引きをご覧ください。
薬物事件
覚せい剤,麻薬,向精神薬,大麻などの薬物は,法律で輸入・譲渡・所持・使用などが厳格に制限されています。営利目的で輸入,所持,譲渡などした場合は,さらに重い罪となります。
例えば,覚せい剤の場合,所持・譲渡の法定刑は10年以下の懲役,営利目的所持の法定刑は1年以上の有期懲役(情状により1年以上の懲役及び500万円以下の罰金)です。 また,普通は,使用よりも所持・譲渡の方が,自分で使用するよりも他人に使用してやる方が,罪としては重く,情状も悪いと考えられています。
所持・譲渡・他人への使用は,これらの薬物を,より広める行為(あるいは広める危険性が高い行為)と考えられるからです。
詳細は薬物事件をご覧ください。
詐欺
詐欺は,人をだましてお金などの財産的価値のあるものを出させたり,債権者をだまして借金を帳消しにさせるなどの財産上の利益を得る行為のことです。詐欺には色々な手口があります。近年では,オレオレ詐欺などの振込め詐欺が問題になっていますが,他にも架空請求詐欺や投資詐欺といった日々新しい詐欺事件が生まれています。
詐欺罪の法定刑は,10年以下の懲役となります。
詳細は詐欺をご覧ください。
交通事故(人身事故)
人身事故・死亡事故のうち,過失運転致死罪・過失運転致傷罪の法定刑は,7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です(自動車運転死傷行為処罰法第5条)。
人身事故・死亡事故のうち,危険運転致死罪の法定刑は,危険運転の態様に応じて,1年以上20年以下の懲役または15年以下の懲役,危険運転致傷罪の法定刑は,危険運転の態様に応じて,15年以下の懲役または12年以下の懲役です(自動車運転死傷行為処罰法第2条,第3条)。
人身事故・死亡事故のうち,業務上過失致死傷罪・重過失致死傷罪の法定刑は,5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です(刑法第211条1項)。
自動車による人身事故・死亡事故の多くは,自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(いわゆる自動車運転死傷行為処罰法)における過失運転致傷罪・過失運転致死罪に問われることになります。
なお,自転車による人身事故・死亡事故では,自動車運転過失致傷罪・自動車運転過失致死罪の適用がないため,重過失致傷罪・重過失致死罪が適用されることが多くなっています。
詳細は交通事故(人身事故)をご覧ください。
少年事件
未成年である少年が刑事罰相当の事件を犯した場合,少年審判にかけられる事になります。(刑事裁判を受ける場合も例外としてあります。)
刑事事件の一つではありますが,成人の刑事事件とは様々な違いがあります。
最も大きな違いは,少年事件では「保護主義」がとられており,刑罰を科すことではなく,少年の健全な育成が目的とされていることです。
精神的に未成熟である少年は,留置施設での生活や捜査員からの取り調べ・対応に耐えられず,また捜査員の誘導などの要因で事実と違った不利な自白をしてしまう事も多々あります。
少年にとって不利な状況や不安な気持ちを早い段階から取り除くためにも,刑事事件同様,一刻も早く弁護士を付ける事が重要となってきます。
詳細は少年事件をご覧ください。
保釈について
保釈とは,起訴後勾留されている被告人が保証金(所謂保釈金)を提供することにより釈放されることです。注意すべきことは,起訴前には保釈は認められないということです。保釈金それ自体は,裁判終了時に全額返還されます。ただし,保釈条件違反がある場合には一部または全部が没収(専門的には「没取」と言います)される場合があります。
詳細は保釈についてをご覧ください。
示談
被害者がいる刑事事件犯罪では,示談に向けた活動ができないか検討する必要があります。
被害者がいる犯罪とは,例えば,暴行や傷害罪などの粗暴犯,強姦,強制わいせつ,痴漢などの性犯罪,窃盗や詐欺罪,横領罪などの財産罪などがこれにあたります。
これに対し,公務執行妨害罪,贈収賄罪,偽造罪など,国家的な法益を守る犯罪では,普通,示談は問題となりません。
確かに警察官に暴行を働いたのですから,その警察官に慰謝料などを支払って示談したいところですが,通常,警察官はそのような示談金等の金銭は受け取ることありません。
そのほか,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反などの薬物犯罪も被害者がいないので示談が問題となりません。
このように,示談は被害者がいる犯罪で問題となります。
詳細は示談をご覧ください。